「知るという言葉の正しい意味は、秩序や法則を見ることなどではなしに、むしろ混沌を見ることだったのだろうか。」
『第四間氷期』安部公房
混沌を見るということは勇気がいることだ。
知ろうとする態度と、知ってからの葛藤と克服、この闘いが美しさではないだろうか。
「何かをするということは、存在を作り出すことだ。」
と、サルトルは言っている。
自分のトラウマや他者と向き合う手段として写真をやっている部分があるが、
実際出来上がる映像としての新しい世界と、写真行為自体に巻き込まれる人々の心の世界に、
確かに存在を作り出しているのかもしれない。
どんな行為も、有形無形関係なく新しい世界を作り出すのならば、
常に世界は広がり続けているのであって、どこにでも宇宙と同じ構造が存在し、
境界線は妄想でしかないのではと思うのである。
でも境界線は確かに存在する。
熱を感じるから。